Tey:救命士「バルパン」って何ですか?
先生に、昨日対応した患者さんの状態を聞いたら、「バルパン」入れて、ICUに入室したって聞いたんですが…



大動脈バルーンパンピングの略だね



日本語名を言われてもわかりません…



病院で耳にする単語だと、IABPは聞いたことある?



聞いたことだけあります!
心カテ後に、入れるやつです!



じゃあ今回は、IABPについて説明するね



お願いします!
循環不全:ショックに対する治療方針



心筋梗塞後に循環を助けるためには、どうしたらいいと思う?



心臓を助けるために、
冠還流の維持と心臓の後負荷を下げればいいと思います!



そうだね
どうやったら、下げられると思う?



え…
循環血液量を減らす…でも、そしたら死んじゃう…



水分バランスの維持は大事だね
冠血流を維持/改善する方法は、思いつく?



思いつきません…



じゃあ、そこについて一緒に考えてみようか
IABPは、心筋梗塞や心臓の手術後など弱った心臓の手助けをする治療法です。
非心原性ショックに対する治療方針



1.輸液負荷を2,000ml入れて、循環維持を図る!
2.それでもだめなら、ノルアドで末梢を締め上げます!
心原性ショック以外のショックでは、ノルアドレナリンや大量輸液・下肢挙上などにより、後負荷を増加・前負荷の増加をすることにより、循環の維持を図ります。時に、ドブタミンなどのカテコラミンは、心臓を直接刺激することで、心臓仕事量を増やすことで、循環の維持を図っています。
心原性ショックに対する治療方針
しかし、心臓を助けなければならない心原性ショックについては、この治療法が使えません。



当たり前です!
心臓を助けなきゃいけないですから!



じゃあ、代わりにどんな治療をすればいいかな?



前負荷を下げる→フロセミド(利尿薬)
後負荷を下げる→ニトロ(硝酸薬)
肺うっ血してたら、ViPAPです。



よくわかってるね!



もう3年目ですからね!



よし、じゃあさらに一歩踏み出そう
心原性ショックに対しては、原因の除去と共に、心臓の負担を下げる治療が取られます。
前負荷を下げる
- 体位管理

Tey:救命士

起坐位にするよ!
起坐位にすることで、心臓に戻ってくる血液量を減少させ、前負荷を下げます。
- 利尿:循環血液量の減少

Tey:救命士

フロセミドを打つよ!
尿量測定を忘れずに!尿の排泄を促進することで、全身の血液量を減少させ、前負荷を下げます。
- 陽圧換気

Tey:救命士

え。呼吸の話じゃないですよ??

ちゅーん

胸腔内圧が上がるとどうなるんだっけ?

Tey:救命士

静脈還流量が減ります!
BLSで過換気はダメだって教えてました!実は陽圧換気によっても、前負荷を下げることができます。

Tey:救命士

だから、心不全の時はBiPAPなんですね。
後負荷を下げる
- 血圧管理

Tey:救命士

血圧を下げて、心臓を守るよ!

Tey:救命士

ニトロ!
ニトログリセリン:硝酸薬を使って、血圧を下げます。心筋保護作用もあるみたいです。

Tey:救命士

ニカピン!
ニカルジピン:Ca拮抗薬を使って、血圧を下げます。
- IABP

Tey:救命士

でた!
今回の主題!
ちゅーん

詳しくは、あとでね。
心臓を助ける!
- 原因治療

Tey:救命士

心筋梗塞に対するカテーテル!急ぐよ!
根本治療が大事ですね。
- IABP

Tey:救命士

こっちにも出てきた!

ちゅーん

冠血流を増加させることで、心臓を守るよ
詳しくは、後述
IABPの機序/役割



つまり、IABPは後負荷を下げるのと冠血流増加ができるんですね。



そうだね。
冠血流の増加はどうすればできるんだと思う?



カテーテルだから、バルーンですよね。



そうだ!
冠動脈でバルーンを膨らませれば、改善します!



その治療をなんていうんだっけ?



PCI:経皮的冠動脈形成術です…
IABPとは違いますね。
IABPの単純機序



IABPは、血管内でバルーンを膨らませたり、縮めたりできる機械だよ!
IABPは、大腿動脈からカテーテルを挿入し、下降大動脈に留置されます。
心臓からほど近い下降大動脈で、心周期に合わせてバルーンの拡張・収縮を繰り返すことで、心臓を助けています。


冠血流について



そもそも、冠血流っていつ流れるんだっけ?
収縮期?拡張期?



え!収縮期じゃないんですか?
心臓から血が送り出されるとき!!



あーーー、
ちゃんと理解しないで、BLSを教えているな



リコイル!
リコイルの説明の時にしゃべってました!
だから拡張期です!!
※リコイル:胸骨圧迫の際に、胸を押した分だけしっかりと戻るという、胸骨圧迫のポイントです。この間に、冠血流が発生・心臓内にも血液が流入することで、ポンプ機能を果たすことができます。知らなかった人は、一緒に覚えてね。
IABPによる冠血流増加の方法



じゃあ、収縮期と拡張期どちらで膨らませると思う?



それなら拡張期です!
収縮期に膨らませたら、心臓から出た血とぶつかっちゃいます!



っは!
拡張期血圧が上がると、冠血流が増加するのか!



そうだね!
冠血流増加の機序が理解できたね!
IABPは心周期に合わせて、拡張期:バルーンを拡張/収縮期:バルーン収縮を繰り返すことで、循環補助を行います。
この拡張期にバルーンが拡張することで、拡張期血圧が上昇し、冠血流量の増加が得られます。
これにより、心筋への酸素供給量が増加するため、心臓の保護に役立つというわけです。
IABPによる後負荷の減少



後負荷の減少もできるって言ってませんでした?



そうだね。
収縮期と拡張期どっちの話だと思う?



さっきは、拡張期だったんで、今回は収縮期!
バルーンが縮む方です。



もしかして、縮むときに何か起きるんですか!?



そうだよ!よくわかったね!
大きなバルーンが急に縮むから、陰圧がかかって、血液が送り出しやすくなるんだね



褒められた!
今度は、収縮期のお話です。
拡張期に膨らんでいたバルーンが、突然収縮することで、血液を誘引することができます。
心臓のすぐそばで、誘引される力が働くことにより、心臓は血液を送り出しやすくなるというお話です。
まとめ
心不全の患者には、他のショックと同様の治療が取れません。
治療方針は、前負荷の軽減・後負荷の軽減・心臓に対するアプローチの3つに分かれますが、心臓へのアプローチの一つが、IABPになります。
IABPにより、冠血流が増加することにより、心筋梗塞後の合併症減少が報告されています。
少しでも、病院内における治療理解の役に立てれば、幸いです。



IABPすごいね!



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参考リスト
株式会社増富 大動脈内バルーンパンピング(IABP)最終閲覧:2026.02.27
https://www.mastomy.co.jp/column/iabp
看護roo! 大動脈内バルーンパンピング(IABP)《知っておきたい治療法①》 最終閲覧:2026.02.27
https://www.kango-roo.com/learning/7357/
レバウェル看護 NPPVが前負荷と後負荷を減少させる機序が知りたい 最終閲覧:2026.02.27
https://kango-oshigoto.jp/hatenurse/article/6733/
画像:大動脈バルーンパンピング(IABP)のイラスト


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