救急救命士とは?
自己紹介にも載せている、私の職業である「病院救命士」について解説していきます。
2023年、正式に認められた職種であり、病院で働く職種の中では新しい職種となります。

救急車のイメージがあるけど
なんで病院にいるの?



病院内でも救命士の専門性が認められたからだよ!
救急救命士は、患者の発生した現場から病院までの間の医療の担い手として生まれました。
それが、「医師の働き方改革」の一環として、活動の場所が拡大され、病院内にも見かけるようになりました。
病院内では新しい職種であり、救命士特有の制限が多いこともあり、病院内でも理解されていないことが多いのが現状です。
そこで、救命士の概要と病院救命士についてをこのページでは紹介しています。
救命士特有の制限
- 現場
- 救急車内
- 病院内において、入院するまでの間(今回の法改正!)
重度傷病者:命に関わる重症患者または、その疑いのある患者
処置内容は、33項目に限定される。
ここには、血圧測定や胸骨圧迫など一般の人でもできる内容から、
気管挿管など看護師にも難しい行為が設定されています。
抜粋を載せています。
- 気管挿管
-
心臓・呼吸が止まっている患者に、人工呼吸をするための空気の通り道を確保する。
口から管を挿入する。
- 上気道デバイス
-
気管挿管より簡易に、空気の通り道を確保する。
- 静脈路確保
-
下記の薬剤を投与するため、または大量の点滴をするために、針を刺すこと
- アドレナリン投与
-
心臓が停止している患者の心臓を刺激し、再鼓動を促す薬
劇薬!
- ブドウ糖投与
-
低血糖の患者に、ブドウ糖を補充する。
救命士は、病院前で消防職員として働くことを想定して作成された資格であり、公務員に類似した厳しい制限がかけれらています。
これらの制限の中、救命士は患者を救うために日々全力を尽くしています。
(以前は、学校職員にはエピペンが使えるが、救命士はエピペンが使えないため、救命士が学校職員に処置を依頼するという時代もありました。)
このうち、場所の制限が拡大されたことで、病院内でも働くことができるようになりました。
救命士の院内での活動が認められた一方で、他の制限は緩和されていないため、病院内で働く上では心もとない処置内容となっています。



看護師とは、どこが違うの?



一般的には、看護師は気管挿管ができないと言われているね
看護師はこれらの制限がなく、救命士のすべての行為を行うことができるため、救命士の資格者の取り扱いは難しい点があります。
一方で、看護師は「診療の補助」と「療養上の世話」の二つの柱を専門としており、多領域に専門性がまたがるため、蘇生や救急に関しては、多くの看護師により救命士に軍配が上がるのではないでしょうか。
病院救命士とは?
これらの制限がある中で、病院救命士が何を行っているかを紹介していきます。
外来業務
- 救急車対応
-
病院救命士の真骨頂!(だと私は思っています。)
点滴・蘇生行為など救命士の本来業務をすべて行うことができます。
他に医療記録・医師処置の介助も行うことができます。
看護師との違いとしては、薬剤使用の範囲や採血・輸血ができない点になります。
- トリアージ
-
外来には常に患者が複数待機しています。
その患者の診察順を変更したり、救急対応が必要な患者を見つけ出します。
救命士としての知識が活かされる業務です。
- 外線相談対応
-
医療相談の対応を行います。
医療知識を活かし、各部署への取次や患者の緊急度判断を行います。
- (医師事務作業補助)
-
大きな病院では、診察室の後ろに通路があり、そこに事務さんがいませんか?
その人たちが持っている資格が、この医師事務作業補助です。
医師のオーダー入力を代行したり、紹介状(医師同士の手紙)を作成することができます。
これを救命士が担うことで、医療知識を活かした質の高い対応が可能になります。
搬送業務
- 転院搬送
-
救急車や他の緊急車両を用いて患者を他院に搬送または、他院に患者を迎えに行きます。
救命士の本来業務であり、すべての処置が行えます。
- お迎え搬送
-
一般の救急車と同様に、患者宅や関連施設に患者を迎えに行きます。
- ドクターカー・ドクターヘリ
-
医師と共に、緊急車両で現場に向かいます。
- DMAT・災害活動
-
災害現場での活動を行うこともあります。
病院外調整
- ホットライン対応
-
救急隊からの電話(ホットライン)に出ます。
救命士通しで会話を行い、必要な情報を素早く聴取します。
- 転院調整
-
他院への転院を行う際・受ける際に電話で調整を行います。
患者の状態を的確にやり取りする必要があり、医療知識が用いられます。
各種講習
- 蘇生講習
-
医療従事者に対し、蘇生行為を教えます。
医療従事者は、5年に一度の講習が義務化されており、全医療者に教えることになっています。
他に、ICLSなどの蘇生講習も行います。
- 民間講習
-
救命士として、一般の方に救急法などの講習を行います。
救命士の職務の一つです。
- そのほか外部コース
-
外傷専門コースや多数傷病者コースなど、救命士が関与するコースは多岐にわたり、それらのインストラクターを行う救命士も多数います。



あれ?
コードブルー対応はどうなるの?



入院患者だった場合は、処置が行えないんだ



え!
それは困る!
そして、問題になるのがこの点です。
病院内にて急変があった場合、院内一斉放送で医療者の集めることを「コードブルー」といいます。
当然、蘇生・救急の知識を持った救命士が活躍するかと言えば、そうではありません。
救命士は、入院患者に処置ができないからです。
蘇生処置に参加できないんです。(困りました…)
病院内で心肺蘇生法を教えているのに、自分はできないっておかしいですよね。
誰だって、教えてくれた人が来たら、自分より上手くやってくれると思うでしょうが、救命士はそれができません。
だからこそ、普段の心肺蘇生法講習やICLSなどのコースで、しっかりと動ける医療者を育てる必要があります。
しかし、救命士が蘇生に関与できないかというとそうではありません。
患者の蘇生には実際に処置する人の他に、情報収集・時間管理・指揮者が必要で、記録を行う人や他の患者に対応する人も必要になります。
だからこそ、院内放送で人を集めるのです。
救命士が行うことできるのは、処置以外のことになるので、情報収集・指揮者や時間管理・記録をやることができます。
これは、救急の専門的知識を要するものであり、他の職種が無条件にできるものではありません。
例えば時間管理の場合、「アドレナリン投与した後何分後にコールする必要があるのか」「前回の電気ショックから何分で次のショックを行うのか」など複数の時間を考え、コールする必要があります。
記録や情報収集についても、緊急時の情報収集と記録になるため、普段から救急に身を置く、救命士の技術が用いられます。



でも、指揮者は医者しかできないんじゃないの?



それが、そうとも限らないんだ
日本の制度上では、すべての医療者は医師の指示で動くことになっています。
しかし、すべての医者が蘇生行為の指示を的確に行える訳ではありません。



できてほしいですね



そうだね
そのために、ICLSやBLSってコースで教えているよ



でも、医者が指示出せなかったらどうするの?



指揮者になった救命士が指示を要請するよ
「指示を要請する」一見矛盾している言葉ですが、救命士が活動する上で重要な行為になります。
蘇生現場を含め救急でよく行いますが、「〇〇を実施します。いいですか?」という問いかけになります。
この問いかけに対し、医師が肯定の発言をすれば、それが医師の指示になります。
これを行うことで、蘇生行為が成り立ちます。
つまり、医師に蘇生知識が乏しい場合は、現場にいる他職種が指示を要請することが重要になります。
これを救急に身を置く救命士が担うことで、的確な蘇生活動に繋げることができます。



患者は心停止状態です。胸骨圧迫と人工呼吸を行っています。
蘇生のため、アドレナリン1mgを投与したい。いかがですか?
医師:お願いします。



わかりました。
〇〇Nsアドレナリン1㎎を投与してください。
Ns:わかりました。
アドレナリン1㎎を投与します。



続けて、AHAガイドラインに基づき、4分おきにアドレナリンを投与したいが良いですね。
医師:お願います。
実際には、アドレナリン以外にも様々な薬や処置が発生するため、このやり取りをいくつもこなす必要があります。
医師が直接指示を出すより少し時間がかかっていますが、この方法であれば、どんな医師が現場に駆けつけても救命士が現場にいる限り対応することができます。
これが、救命士がいる場合の入院患者の急変対応になります。
おまけ:医師とのコミュニケーション例



蘇生中の患者は、人工呼吸による換気不良です。
気管挿管が必要と思われ、準備ができています。
気管挿管をお願いします。
医師:わかりました。挿管します。
総括
まだまだ制限が多く、法律改正が求められていますが、救命士は今できることを全力で行っています。
病院に救命士が所属し、「こんなことをやっているんだな~」と認識してい頂ければ幸いです。



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