今回は、ICLSについて書いていきます。
皆さんは、ICLSプロバイダーコースを受けたことがありますか?
医療従事者として病院に勤務する方々には、ぜひとも習得していただきたい技術が詰まった資格になります。
今回は、臨床検査技師の同僚がICLSを受けるとのことで、その方にとってわかりやすいように記載していきます。
他の方も、救急や急変に慣れていない方・看護職以外の方にもわかりやすい言葉で綴っていきますので、硬く構えず読んでみてください。
登場人物

質問者:臨床検査技師



ICLSをこれから受講する救命士



筆者:ICLSインストラクター救命士



筆者:強調ポイント
ICLSとは



ICLSってどういうコースなの??



現場の10分間の蘇生を学ぶためのコースだよ



10分間?



専門医療チームが到着するまでの時間だね
現場のスタッフが10分間なんとかつないでくれれば、
専門チームが高度な治療で救命できる!
っていう目的だよ



意外と長いね



実際に、急変の現場だとあっという間だから、
身体で覚えてみようね
ICLSのコースページを参照すると、次のように記載があります。
「ICLS」とは「Immediate Cardiac Life Support」の頭文字を取った略語です。「Immediate」は、突然の心停止に対する最初の10分間の処置を重要視するものです。
心停止はどの医療機関のどの部署においても起こりうるもので、いったん発生すれば蘇生を開始するまで少しの猶予もありません。まさに「Immediate(すぐに、間髪をおかない)」な処置が必要となるのです。心停止直後の処置には、あらゆる医療者がチームの一員として参加し、蘇生を行うことが求められています。
ICLSコースでは、あらゆる医療者が身につけておくべき「突然の心停止に対する最初の10分間の適切なチーム蘇生」に関する基本的事項を習得できるようにしています。



BLSとは違うの?



BLSよりも一歩先を行くためのコースなんだ
ICLSでは、BLSの重要性も教えつつ、
その先に、何ができるかについてを教えていくよ



BLSだけじゃダメ…?



病院では患者を助けるために、
BLSが命をつなぐ技術
ICLSは、その命を救うための技術の入り口
って私は考えているよ



病院外だと命をつなぐだけで大成功だけど
病院内だと、その命を救わなきゃいけない
そのための技術の入り口だから、後悔しないために覚えてね
ICLSは急変の初動を重視しています。
急変したことを察知し、適切な応援要請があってこそ、10分間のICLS技術が活かされます。
応援要請をしたうえで、患者蘇生に臨んでください。



10分間は具体的には何をするの?



BLSと気道確保、アドレナリンと電気ショックですよね!



60点だね



え。
まじですか



今言ってくれたようなことを6割くらいの時間を使う
残り4割の時間でチーム蘇生を行っていくよ



チーム蘇生ですか



そう
実際にシミュレーションで患者を救う体験をしてもらう
技術は、その時間までにしっかりと教えるから、
その技術とコミュニケーションと頭脳を使って、患者を救おう



できる気がしません



私もです



各技術の習得は、そんなに難しくないけど
それをまとめてなおかつ、コミュニケーションをとるのが難しい
そこを重視しているのが、ICLSなんだ
心停止の原因検索



はい!はい!
知ってます。
6H6Tですね



そうだね
全部言える?



覚えてきました!
循環血液量減少
低酸素
アシドーシス
カリウム
低血糖
低体温
心タンポナーデ
毒物
緊張性気胸
心筋梗塞
肺塞栓症
外傷
です!!!!



すごい…



全部言えたね



何点ですか???(笑)



ICLS的には40点かな



え!?



低い!!
どうしてですか



じゃあ、肺塞栓症はどうやって見つける?



造影CTします!



心臓が止まってるのに??



あ…
そうでした



そう。
ICLSでは、原因検索も行う
だから、6H6Tを覚えるだけじゃダメなんだ



6H6Tも覚えられていないんですが



大丈夫!
チーム蘇生をするときには張り出されるからね!



じゃあ、何を覚えていくんですか?



覚えるというより、
蘇生中も考え続けること
原因を探し続けることが重要だよ



だからあなたは、原因検索を覚えようね



え、難しいです



じゃあ、肺塞栓症ってわかったらどう治療する?



ECMOです!



そうだね
その治療に繋げるために
原因検索を頑張ろうね



はい!



ICLSって難しいですね



難しいんじゃないよ
蘇生中も考えることをやめない
頭を動かし続けることができればいいと私は思うよ。



頑張ります!



私もですか???



あなたは、蘇生専門チーム側でしょ
原因検索も治療も覚えてね



はい。
がんばります
長くなってきたので、次の投稿で詳しく説明します。
総括
ICLSでは現場に即しており、「胸骨圧迫をしてればいい」「人工呼吸担当だから」といったことはありません。
チーム一丸となって、患者を救うために最善の方法を模索する。
これが、ICLSの重要な部分であると私は、考えています。
- 救う手段としてのBLS・気道確保・薬剤・電気ショック
- 考えるツールとして、6H6T
- これらを教えるのが、ICLS




コメント